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仕事で知り合った「原宿の母」から手相のてほどきを受け、「代々木の甥」を襲名したお笑い芸人。ユニークで誰もがわかりやすいネーミングの手相術が各界で話題を呼び、現在はテレビ・雑誌など様々なメディアで幅広く活躍中。
地方での仕事といえば思いがけないことがよく起こる。
まだ僕が「号泣」という漫才コンビを組んでいたころ、地方局の番組収録やイベントなどに声をかけていただいた。
スタッフさんに東京の現場でもよく顔を覚えられていない僕らは、地方ではもっと知られていない。いつも、男のマネージャーと3人で行動していた僕らなのだが問題が。
運悪く、相方の顔は少し地味めな顔。更に運悪く、僕らのマネージャーの顔は派手なメガネに笑顔というコメディー顔。
毎回毎回、当然のように音声さんに僕とマネージャーがマイクを付けられた(笑)。
そして、スタッフさんは相方にタイムスケジュール等の打ち合わせに。
マネージャを芸人だと信じ切っているスタッフさんに、気まずくてなかなか言い出せない3人。相手にばれないようにそっとマイクを付け替えて舞台に上がったりしていた。
でもスタッフさんからしたらさぞかしびっくりしただろう。
「マネージャーが漫才をしている!!」と。
そして地方と言えば・・・。
地元が長野県なので、そちらで単独ライブをやらせてもらったことがある。凱旋ライブということで、たくさんの方たちが晴れ姿を見に来てくれ会場は満席。客席には昔の友達やお世話になった方々など、知った顔がちらほら。
うれしいやら恥ずかしいやらで、やりづらいなぁなんて思いながら最前列に目をやった瞬間、漫才中なのに声を失った。
なんと最前列から2列が全員、相方の親せきだったのだ。
あちらからしたら応援の気持ちの表れで、親戚一同で誰よりもチケットを早くにたくさん買ってくれたということなのだが、こちらからしたらたまったものじゃない。相方と同じような顔が、ズラーっと並んでいるのだ。それも2列。自分以上に相方はやりづらかったに違いない。
また自分と血がつながった男の漫才だから、何とか盛り上げようとしてのことだろう。
めちゃくちゃ笑う。人ってそんなに笑う?ってくらい笑う。
このボケはスベって会場の反応はいまいちかなぁなんて時は大変。親戚一同が、無理して「ははははは!」なんて明らかに不自然な作り笑い。必死に変な盛り上げ方をする。決してスベってないですよ、と会場と僕らにアピール。
極めつけは終盤のこと。
相方のおばあちゃんが孫の頑張った姿に感極まったのか、急に舞台に上がってきて「はい、これ」とおこずかいを手渡してきた。もちろんその瞬間が、そのライブで一番の笑いが生まれた瞬間になった。そりゃそうだ、漫才中おばあちゃんにおこずかいをもらうなんておもしろすぎる。
「ちょっと、今はいいから!おばあちゃん」。
顔を真っ赤にする相方の言葉が、更なる爆笑を誘った。
家族や親せきに芸人を持つ方たちへ。
地元に行った際、応援で会場に来てくれるのはとてもありがたいこと。ただ、本番中はなるたけ目の届きづらい位置で、ひっそりと楽しんでください。それが、本人たちがやりやすくなる一番の応援になりますから(笑)。
次回は、「ムエタイ漫談」で人気のピン芸人です。
仕事でも全国各地に行っている様なので、おもしろい話をたくさん持ってると思います。